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20歳で年収1億円!? 華やかな「JRA騎手」のお金事情と命懸けの現実
騎手関連
2026.09.08

JRA騎手のお金と補償のリアル|若手で年収1億?退職金・手当の仕組みを徹底解説

最近、競馬界で話題になった高杉吏麒騎手のフリー転向騒動。これに関連して、元南関東のトップジョッキーである森泰斗調教師がSNSで発信した言葉が、多くの競馬ファンの関心を集めました。

「若くしてそこそこ乗れた奴ほど勘違いする」
「よくわからず社会に出た途端に大金が入ってくるしチヤホヤもされるから」

厳しい言葉にも聞こえますが、実際にJRAの若手ジョッキーたちはどれほどのお金を手にしているのでしょうか。今回は、高杉騎手のケースを例に挙げながら、知られざる「JRA騎手のお金と補償のリアル」に迫ります。

1. デビュー数年で億超えも。若手騎手の破格な収入

2024年にデビューし、現在3年目の高杉吏麒騎手。2026年9月時点でキャリア通算160勝を挙げ、今年もすでに38勝をマークしている若手のホープです。

📊 高杉吏麒騎手の推定年収推移
2年目(2025年):推定 8,500万〜9,500万円(爆発的な勝ち星)
3年目(2026年途中):推定 5,000万〜6,000万円以上

※デビューわずか2〜3年の20歳前後という年齢を考えれば、一般的な同世代とは比較にならない破格の収入です。

この莫大な収入は、主に以下の「3大柱」から成り立っています。

💰 騎手収入の「3大柱」
1. 進上金(賞金歩合)
レースで5着以内に入った際にもらえる賞金の取り分
【目安】平地競走 5% / 障害競走 7%
2. 騎乗手当・騎乗料
レースに出走(騎乗)するだけで支給される手当
【目安】1走あたり 約4万3,000円〜10万円以上(グレードで変動)
3. 調教手当
早朝などに厩舎の馬を調教した際にもらえる手当
【目安】1頭あたり数千円(毎日複数の馬を調教)

この仕組みにより、トップジョッキー(リーディング上位)になれば年収1億円〜2億円超は当たり前。中堅層(年間30〜50勝ペース)でも3,000万〜7,000万円を稼ぎ出します。
たとえ年間数勝〜10勝前後の若手・下位層であっても、減量特典を活かしてコンスタントに騎乗回数を稼げば、騎乗手当だけで1,000万〜2,000万円の年収を確保できるのがJRAの世界です。

⚠️ ただし、彼らは「個人事業主」

高収入の裏には、騎乗交渉代理人(エージェント)への報酬(約10%)や、馬具の管理を任せるバレットへの給与、そして最大約55%(所得税45%+住民税10%)にも達する莫大な税金といった多額の経費・支出もかかっています。

2. 億単位の原資になる「騎手養老金(退職金)」

プロスポーツ選手としては珍しく、JRA騎手には「騎手養老金制度(共済制度)」という独自の退職金システムが存在します。現役時代に稼いだ賞金や手当から自動的に積み立てられるため、引退時には莫大な金額になります。

🏛️ 騎手養老金(退職金)の推定目安
🏆 超トップ級
現役25〜30年以上 / 通算1000〜2000勝超・G1多数
推定退職金額:2億円 〜 3億円以上
🥇 ベテラン・中堅
現役20年以上 / 通算500勝〜1000勝前後
推定退職金額:8,000万円 〜 1億5,000万円
🥈 堅実・中堅
現役15〜20年 / 通算200勝〜500勝
推定退職金額:4,000万円 〜 8,000万円
🥉 若手・早期引退
現役10年未満 / 通算数十勝程度
推定退職金額:数千万円未満(積立年数に応じる)

騎手を引退して調教師に転身する場合も、一度この養老金が清算されます。名手と呼ばれる騎手たちが40代で調教師に転身する際、この数億円規模の退職金を厩舎の開業資金や設備投資に充てるケースも少なくありません。

3. 命懸けの職業だからこその手厚い「補償」

なぜこれほどまでに給与や退職金、そして制度が手厚く保護されているのか。それは、騎手という職業が常に「死や重度障害」と隣り合わせだからです。落馬事故による怪我で引退を余儀なくされたり、命を落としてしまうリスクが常にあります。

🩺 後遺障害で引退した場合

障害等級に応じて、日本騎手クラブから最も軽い14級で約36万円〜、最も重い1級(車いす生活など)で最大3,400万円が支給。さらに実績に応じた「騎手養老金」が支払われるため、中堅以上なら数千万〜1億円以上が引退後の生活保障として支払われます。

✝️ 死亡事故の場合

万が一の事態が起きた場合、遺族には以下の3つが合算して支払われます。

  • 日本騎手クラブからの遺族給付(3,400万円)
  • 騎手本人の養老金(数千万〜数億円)
  • JRAからの特別見舞金・弔慰金(非公開)

※長年活躍した騎手の場合、遺族に支払われる総額は数億円規模に達すると言われています。

4. 命の対価とプロとしての覚悟

競馬学校を卒業し、世間の一般的な金銭感覚を知らないまま20歳前後で数千万、あるいは1億円近い大金を手にする若手騎手たち。森泰斗調教師が指摘した「勘違いしやすい」という懸念は、この特殊すぎる収入構造を見れば誰もが納得できるはずです。

しかし、その破格の報酬は「時速60kmで走る馬の上で命を懸けている対価」に他なりません。どれほど大金を手にしようとも、一度の落馬ですべてを失う過酷な現実がそこにあります。

大金に溺れず、自らを律して技術を磨き続けることができるか。それこそが、一過性の「稼げる若手」で終わるか、競馬史に名を刻む「トップジョッキー」になれるかの決定的な分かれ道と言えるでしょう。